目標を立てた直後はやる気があったのに、数日後には行動しなくなってしまうことがあります。
そのたびに、「自分は意志が弱い」と落ち込んでいる人もいるでしょう。
しかし、続かない原因は性格だけではありません。
目標があいまいだったり、行動する時間が決まっていなかったり、予定が崩れた後の戻り方を用意していなかったりする場合があります。
心理学の研究では、具体的な目標、適切な難易度、行動のきっかけ、進捗確認などが、目標達成を支える要素として研究されています。
この記事では、願望を行動へ変える目標の立て方、継続を助ける心理テクニック、失敗したときの立て直し方、次の成果につなげる振り返り方法を解説します。
目標設定に心理学を取り入れるメリット
あいまいな願望を行動へ変えやすくなる
「もっと健康になりたい。」
「仕事を頑張りたい。」
「勉強する習慣をつけたい。」
これらは大切な願いですが、そのままでは何をすればよいのかが見えません。
目標設定では、願望を確認できる行動へ変える必要があります。
「健康になりたい」なら、「平日の夕食後に二十分歩く」と決めます。
「勉強したい」なら、「月曜日から金曜日まで、朝七時から十五分間、英単語を復習する」と決めます。
具体的になるほど、行動したかどうかを判断しやすくなります。
目標設定理論では、明確な目標は注意や努力を必要な活動へ向けやすくし、取り組みを続ける助けになると説明されています。
ただし、数字を入れれば必ずよい目標になるわけではありません。
「毎日百ページ読む」と具体化しても、生活に合わなければ続きません。
何をするかだけでなく、いつ、どこで、どれくらい行うのかまで現実的に考えることが大切です。
最初は、「何を達成したいか」よりも「次に何をするか」を一文にしてみましょう。
やる気だけに頼らず継続しやすくなる
目標を立てた直後は、やる気があります。
新しい手帳を買ったり、必要な道具をそろえたりすると、すぐに行動できそうな気持ちになるでしょう。
しかし、やる気は毎日同じではありません。
忙しい日もあれば、疲れている日もあります。
気分が乗るまで待っていると、行動する日が少なくなります。
そこで役立つのが、行動の条件を先に決める方法です。
「時間ができたら運動する」ではなく、「月曜日と木曜日の午後七時になったら、自宅で十分間運動する」と決めます。
Gollwitzerが提唱した実行意図は、「もし特定の状況になったら、その行動をする」という形で、目標と行動のきっかけを結びつける方法です。
やる気を完全に不要にする方法ではありません。
それでも、毎回「今からやるべきか」と考える負担を減らせます。
気分ではなく、決めた時刻や場所を行動の合図にすることが、継続を助けます。
途中で挫折する原因を見つけやすくなる
目標が続かなかったとき、「自分は飽きっぽい」と性格のせいにしがちです。
しかし、実際には目標や行動計画に問題があるかもしれません。
目標が大きすぎた。
行動する時間が決まっていなかった。
必要な道具が手元になかった。
一度休んだ後の戻り方を決めていなかった。
進み具合が見えず、成果を感じられなかった。
このように分けて考えると、修正できる部分が見えてきます。
「続かなかった」という結果だけを見るのではなく、どの段階で行動が止まったのかを確認しましょう。
始められなかったのか。
始めたが長く続かなかったのか。
努力したが結果が出なかったのか。
原因によって対策は変わります。
始められないなら、行動のきっかけを明確にします。
負担が大きいなら、行動を小さくします。
結果が出ないなら、方法そのものを見直します。
心理学を取り入れる利点は、自分を責める材料を増やすことではありません。
失敗を、改善できる仕組みの問題として見直せることです。
達成までの進み具合を確認しやすくなる
目標を立てただけでは、順調に進んでいるかどうかわかりません。
途中で確認する仕組みが必要です。
読書なら、読んだページ数を記録します。
運動なら、実施した日と時間を残します。
仕事なら、完成した作業と残っている作業を確認します。
進捗確認に関する実験研究をまとめたメタ分析では、進み具合を確認する機会を増やす介入が、目標達成を促すことが示されています。
特に、結果を実際に記録した場合や、進捗を誰かへ報告した場合に効果が大きくなる傾向も報告されました。
ただし、記録することが目的になってはいけません。
細かすぎる記録は負担になり、行動そのものを止めることがあります。
自分の目標に必要な項目だけを残しましょう。
「実施したか。」
「どれくらい進んだか。」
「次に何をするか。」
この三つだけでも十分です。
進捗が見えると、遅れに早く気づき、目標や方法を修正しやすくなります。
自分に合った目標の立て方がわかる
同じ方法が、すべての人に合うわけではありません。
大きな目標を掲げると頑張れる人もいれば、重圧を感じる人もいます。
毎日記録することで意欲が高まる人もいれば、記録が負担になる人もいます。
周囲へ目標を伝えると続けやすい人もいれば、期待されることで苦しくなる人もいるでしょう。
大切なのは、一般的な方法をそのまま使うことではありません。
自分の行動を観察し、効果のあった方法を残すことです。
たとえば、朝に勉強する計画が何度も失敗するなら、夜型の生活に合っていない可能性があります。
一人では続かないなら、定期的に進捗を確認してくれる人を探します。
大きな目標で緊張するなら、今週の行動だけ決めます。
目標設定は、自分を理想的な人間へ無理に合わせる作業ではありません。
現在の生活、得意な進め方、使える時間に合わせて行動の仕組みを作る作業です。
試して、確認して、合わなければ変えることが大切です。
達成しやすい目標に共通する特徴
目標を具体的な言葉にする
達成しやすい目標には、何をするのかが明確に書かれています。
「英語を頑張る」だけでは、行動したか判断できません。
「平日に英単語を二十語ずつ復習する」なら、実行できたか確認できます。
具体化するときは、次の内容を整理しましょう。
何をするのか。
どのくらいするのか。
いつまでに行うのか。
どこで行うのか。
どの方法を使うのか。
たとえば、「三か月後までに体力をつける」という目標なら、「週三回、帰宅後に二十分歩く」と行動へ変えます。
結果目標と行動目標を分けることも重要です。
「三キロ減量する」は結果目標です。
「週三回歩き、夜食を週一回までにする」は行動目標です。
結果には自分で完全に管理できない部分があります。
一方で、行動は比較的管理しやすいものです。
目標設定理論では、具体的な目標が曖昧な目標よりも行動を方向づけやすいことが示されています。
目標を書いたら、「今日から何をすればよいかがわかるか」と確認しましょう。
難しすぎず簡単すぎない水準に設定する
簡単すぎる目標では、努力を引き出しにくい場合があります。
反対に、現実から大きく離れた目標は、始める前から諦める原因になります。
目標設定理論では、受け入れられた難しい目標が、高い成果につながりやすいとされています。
ただし、複雑な課題では、成果だけを求める目標より、方法や知識を身につける学習目標が適している場合もあります。
たとえば、営業経験のない人へ「初月から一位になれ」と求めても、何をすればよいかわかりません。
最初は、「毎日一件、先輩の商談を振り返り、質問を一つまとめる」という学習目標の方が現実的です。
適切な難易度を決めるときは、現在の実力を確認します。
これまで一週間に一度も運動していないなら、最初から毎日一時間は負担が大きいでしょう。
まず週二回、十分から始める方が実行しやすくなります。
目標は高ければ高いほどよいわけではありません。
努力すれば届く可能性があり、具体的な方法を考えられる水準に設定しましょう。
期限と確認する時期を決める
期限がない目標は、「いつかやること」になりやすいものです。
資格を取る。
資料を完成させる。
生活習慣を改善する。
これだけでは、行動を始める時期が決まりません。
「六月末までに参考書を一冊終える。」
「金曜日の午後三時までに資料の下書きを作る。」
このように期限を決めましょう。
ただし、最終期限だけでは足りません。
途中で確認する日も設定します。
六月末が期限なら、五月末に半分進んでいるか確認します。
金曜日が提出日なら、水曜日に構成ができているか確認します。
途中確認があれば、遅れていることに早く気づけます。
進捗確認を増やすことが、目標達成に役立つという実験研究のメタ分析とも一致します。
期限を決めるときは、予定外の仕事や体調不良も考慮しましょう。
必要な期間をぎりぎりにせず、少し余裕を残します。
期限は自分を追い詰めるためではありません。
行動を始める時期と、修正する時期を明確にするための目印です。
結果だけでなく行動目標も作る
「売上を二十パーセント増やす。」
「試験に合格する。」
「五キロ減量する。」
これらは成果を確認しやすい目標です。
しかし、結果は市場、試験の難易度、体調など、自分だけでは管理できない要因にも左右されます。
そこで、結果目標と一緒に行動目標を作りましょう。
売上を増やすなら、「毎週十件の見込み客へ連絡する」と決めます。
試験に合格するなら、「平日は三十分、過去問題を解く」と決めます。
減量するなら、「週三回歩き、夕食後の間食を控える」と決めます。
行動目標があると、結果が出る前でも進捗を確認できます。
また、結果が出なかったときに、行動量が足りなかったのか、方法が合っていなかったのかを分けて考えられます。
行動したのに結果が出なければ、方法を見直します。
行動自体ができていなければ、時間や環境を調整します。
達成したい結果だけでなく、その結果へ近づくために自分が繰り返せる行動を決めましょう。
自分にとっての意味を明確にする
他人に勧められた目標や、世間で評価される目標でも、自分が必要性を感じていなければ続きにくくなります。
なぜ達成したいのかを考えましょう。
資格を取ることで、どのような仕事ができるようになりたいのか。
運動を続けることで、どのような生活を送りたいのか。
貯金することで、何を安心して選べるようになりたいのか。
理由は一つでなくても構いません。
紙に書くときは、「達成しなければならない」ではなく、「達成すると何が変わるか」を書きます。
「英語を勉強しなければならない」ではなく、「海外の取引先と自分で会話できるようになりたい」とします。
目標設定理論でも、目標への取り組みには、本人がその目標を受け入れ、関与していることが重要だと考えられています。
理由が見つからない目標は、誰かの期待をそのまま背負っている可能性があります。
続ける前に、本当に自分に必要な目標かを見直しましょう。
目標達成を助ける心理テクニック
大きな目標を小さな行動に分ける
大きな目標は、方向を示すために役立ちます。
しかし、行動するときには小さく分ける必要があります。
「本を書く」という目標だけでは、最初に何をすればよいかわかりません。
テーマを決める。
読者を決める。
構成を作る。
一日五百文字書く。
このように分けます。
小さな行動は、十分から三十分程度で始められるものにすると実行しやすくなります。
「部屋を片づける」なら、「机の上の不要な紙を五分間処分する」とします。
「資格の勉強をする」なら、「参考書を開き、最初の三ページを読む」とします。
小さすぎるように感じるかもしれません。
しかし、最初の目的は大きな成果を出すことではなく、行動を始めることです。
一度始めると、そのまま続けられることもあります。
大きな目標は月や年単位で考え、小さな行動は今日や今週の単位で決めましょう。
いつどこで行動するかを先に決める
「時間があればやる」と考えると、他の予定が優先されやすくなります。
行動する状況を先に決めましょう。
「朝食を食べ終えたら、食卓で十分間英語を勉強する。」
「月曜日の午後七時になったら、近所を二十分歩く。」
「仕事を始める前に、机で今日の重要作業を一つ書く。」
これは、実行意図と呼ばれる考え方です。
特定の状況と行動を「もしこの状況になったら、この行動をする」という形で結びつけます。
状況は、できるだけ見分けやすいものを選びます。
「暇になったら」では、人によって判断が変わります。
「夕食を片づけたら」「電車に乗ったら」など、すでに毎日行う行動をきっかけにするとわかりやすくなります。
ただし、実行意図だけで長期間の反復行動が必ず続くわけではありません。
ジム利用者を対象にした無作為化研究では、簡単な計画介入の効果に限界も示されました。
予定を決めた後も、負担や進捗を確認し、調整することが必要です。
予定どおりできない場合の代替行動を決める
予定は必ず崩れます。
急な仕事が入る。
雨が降る。
体調が悪くなる。
家族の予定が変わる。
このようなときに代替案がないと、一度の中断が長い休止につながります。
事前に「できなかった場合はどうするか」を決めましょう。
夜に運動できなければ、翌朝に十分歩く。
図書館へ行けなければ、自宅で参考書を三ページ読む。
一時間勉強できなければ、最低五分だけ復習する。
重要なのは、元の予定と同じ量を無理に行うことではありません。
目標とのつながりを切らさないことです。
代替行動は、負担の小さいものにします。
忙しい日の最低ラインを作っておくと、「完璧にできないなら何もしない」という考えを避けやすくなります。
また、同じ理由で何度も予定が崩れるなら、代替行動だけで対応せず、最初の計画を見直しましょう。
毎週夜に予定が入るなら、朝や休日へ移す方が現実的です。
進み具合を記録して見える化する
行動した日や成果を記録すると、現在地がわかります。
カレンダーへ印をつける。
学習時間を手帳に書く。
運動回数をアプリへ入力する。
仕事の完了項目を一覧にする。
方法は簡単で構いません。
進捗確認に関するメタ分析では、進捗を確認する頻度を高める介入が目標達成を促し、記録や報告を伴う場合に効果が大きくなる傾向が示されています。
記録を見るときは、できなかった日だけに注目しないようにしましょう。
続けられた日。
うまくいった時間帯。
負担が少なかった方法。
これらも確認します。
たとえば、朝は三日しかできなかったのに、昼休みは七日続いたなら、昼の方が自分に合っている可能性があります。
記録は自分を監視して責めるためのものではありません。
どの方法が機能しているかを知るための資料です。
記録が負担になったら、項目を減らしましょう。
「実施したかどうか」だけでも役立ちます。
必要に応じて周囲の協力や確認を取り入れる
一人で続けるのが難しい場合は、周囲の協力を使いましょう。
家族に運動時間を伝える。
同僚と毎週進捗を確認する。
先生や上司に途中の成果を見てもらう。
友人と同じ時間に勉強する。
進捗を誰かへ報告することが、目標達成を助ける場合があることは、進捗確認のメタ分析でも示されています。
ただし、広く宣言すれば必ず続くわけではありません。
周囲の期待が負担になる人もいます。
目標を話しただけで満足し、行動した気分になることもあります。
協力を求める相手と内容を具体的にしましょう。
「応援してほしい」だけでなく、「毎週金曜日に、勉強した日数を聞いてほしい」と頼みます。
「運動を邪魔しないで」ではなく、「火曜日の午後七時から三十分、家事を交代してほしい」と相談します。
協力者は、叱る人ではなく、行動を確認し、必要な支援をしてくれる人を選びましょう。
目標が続かなくなる心理と対処法
最初から完璧を求めすぎない
目標を立てると、毎日必ず続けたくなります。
一日でも休むと、失敗したように感じる人もいるでしょう。
しかし、長期間の目標では、予定どおりにできない日がある方が自然です。
完璧を基準にすると、一度の失敗から「もう意味がない」と考えやすくなります。
毎日三十分の勉強を目標にしているなら、最低五分の代替行動を用意します。
週三回の運動を一回しかできなかったとしても、一回実施した事実は残ります。
できなかった分を一日で取り返そうとせず、次の予定へ戻りましょう。
目標達成では、連続記録を守ることより、長期的に戻り続けることが大切です。
完璧を求めないことは、基準をなくすことではありません。
予定と最低ラインを分けることです。
「通常は三十分。」
「忙しい日は五分。」
このように決めれば、生活の変化に対応しながら継続できます。
やる気が下がる時期を想定しておく
目標を立てた直後の新鮮な気持ちは、いつまでも続きません。
成果がすぐに見えない時期には、やる気が下がります。
仕事が忙しくなる時期や、天候が悪い季節に行動しにくくなることもあります。
あらかじめ、やる気が下がる時期を想定しましょう。
試験勉強なら、中だるみしやすい一か月後に振り返り日を設定します。
運動なら、雨の日に行う室内メニューを用意します。
仕事なら、繁忙期には目標量を一時的に減らします。
やる気が落ちたことを、目標が間違っていた証拠と決めつけないようにしましょう。
感情が変化しても、決めた行動を小さく続けられる仕組みが役立ちます。
また、意欲の低下が長く続く場合は、目標の意味や難易度を見直します。
自分に必要のない目標を義務感だけで続けていないか。
負担が生活に対して大きすぎないか。
方法を変えても成果が出ない状態ではないか。
やる気の低下を責めるのではなく、計画を点検する合図として使いましょう。
他人と比べて落ち込まない
同じ目標に取り組んでいる人を見ると、進み具合を比べたくなります。
自分より早く成果を出している人を見て、焦ることもあるでしょう。
しかし、始めた時期、使える時間、経験、生活環境は人によって違います。
他人の成果だけを見ても、自分の計画が適切かどうかは判断できません。
比較するなら、過去の自分や、自分で決めた基準と比べます。
先月より学習日数が増えたか。
以前より早く行動を始められたか。
決めた行動を何割実行できたか。
他人の方法を参考にすることはできます。
ただし、同じ速度で進まなければならないわけではありません。
比較によって行動が増えるなら参考にし、落ち込んで何もしなくなるなら見る情報を減らしましょう。
SNSの記録を見ない。
同じ立場の人とだけ進捗を共有する。
成果ではなく方法について聞く。
自分の目標は、自分の生活を良くするためのものです。
他人の順位表に参加するためのものではありません。
一度の失敗で全部をやめない
一日勉強できなかった。
予定していた運動を休んだ。
決めた食事を守れなかった。
このような失敗の後に、「もう続けても意味がない」と考えることがあります。
しかし、一度の失敗と、目標全体の失敗は別です。
まず、何が起きたかを確認します。
予定を忘れたのか。
時間が足りなかったのか。
負担が大きかったのか。
環境が整っていなかったのか。
次に、再開する日を決めます。
「明日から頑張る」ではなく、「明日の朝食後に五分だけ再開する」と具体化します。
失敗した分をすべて取り返そうとすると、負担が増えます。
元の計画か、さらに小さい行動へ戻りましょう。
一度休んだ後の再開方法を、目標を立てる時点で決めておくのも有効です。
「二日続けて休まない。」
「休んだ翌日は最低行動だけ行う。」
このようなルールがあれば、失敗後の判断に迷いにくくなります。
目標が合わなくなったら修正する
目標を変えることを、逃げや失敗だと考える人がいます。
しかし、状況は変わります。
仕事が変わる。
健康状態が変わる。
家族の予定が増える。
目標を立てたときにはなかった情報が見つかる。
このような場合、最初の目標へ固執する方が不合理なこともあります。
達成できない目標から適切に離れ、別の目標へ取り組む力は、自己調整の重要な一部として研究されています。
Wroschらの研究では、達成困難な目標から離れる力や、新しい目標へ取り組む力が、主観的な幸福感と関連していました。
目標を修正するときは、感情だけで決めず、次の点を確認します。
今も自分にとって意味があるか。
使える時間や資源に合っているか。
方法を変えれば達成できるか。
続けることで得るものと失うものは何か。
目標を小さくする。
期限を延ばす。
方法を変える。
別の目標へ切り替える。
これらはすべて、状況に合わせた調整です。
目標を達成するための振り返り方
できたこととできなかったことを分ける
振り返りでは、できなかったことだけを見るのをやめましょう。
目標を百パーセント達成できなかったとしても、途中でできた行動があります。
十回の予定のうち六回実施した。
参考書を半分まで読んだ。
一度は早めに相談できた。
これらは次の計画に使える情報です。
紙を二つに分け、「できたこと」と「できなかったこと」を書きます。
できたことについては、なぜできたのかを考えます。
時間帯がよかった。
準備ができていた。
誰かの協力があった。
行動が小さかった。
できなかったことについても、責めるのではなく原因を確認します。
予定が重なった。
目標量が多すぎた。
行動の場所が決まっていなかった。
振り返りは、反省文を書く時間ではありません。
次に残す方法と、変える方法を見つける時間です。
結果より行動の再現性を確認する
一度よい結果が出ても、偶然だった可能性があります。
反対に、一度結果が出なくても、正しい行動を続ければ後から成果につながることがあります。
振り返るときは、結果だけでなく、行動を再現できるかを確認しましょう。
売上が増えたなら、どの行動が関係していたのかを見ます。
連絡件数を増やした。
顧客の課題を先に確認した。
提案後の連絡を早くした。
次回も同じ行動を実施できるなら、再現性があります。
試験の点数が上がったなら、使った教材、学習時間、復習方法を確認します。
「運がよかった」で終わらせず、繰り返せる部分を探しましょう。
結果が悪かった場合も同じです。
計画した行動を実施していなければ、まず行動の仕組みを直します。
行動したのに結果が出なければ、方法や目標水準を見直します。
結果と行動を分けることで、次に何を変えるべきか判断しやすくなります。
失敗の原因を人格ではなく仕組みで考える
目標を達成できなかったとき、「自分は意志が弱い」「何をしても続かない」と考えると、改善方法が見つかりません。
人格ではなく、行動の仕組みを確認しましょう。
忘れてしまったなら、目につく場所へ道具を置きます。
時間がなかったなら、予定を短くするか時間帯を変えます。
疲れてできなかったなら、負担の小さい代替行動を用意します。
成果が見えずに飽きたなら、進捗の記録方法を変えます。
仕組みで考えるとは、自分の責任をなくすことではありません。
自分で変えられる部分を見つけることです。
「意志が弱いから」で終わらせるより、「帰宅後は疲れているため、朝に移す」と決める方が、次の行動につながります。
同じ失敗が繰り返される場合は、目標そのものが生活に合っていない可能性もあります。
努力不足と決めつける前に、環境、時間、難易度、支援の有無を確認しましょう。
次に変えることを一つだけ決める
振り返りをすると、直したい点がたくさん見つかります。
時間を変える。
教材を変える。
記録を始める。
目標量を減らす。
周囲へ相談する。
すべて同時に変えると、どの変更が効果を持ったのかわからなくなります。
次に変えることを一つだけ決めましょう。
「来週は、勉強時間を夜から朝へ移す。」
「運動時間を三十分から十分へ減らす。」
「毎週日曜日に、進捗を手帳へ記録する。」
一週間か二週間試し、結果を確認します。
うまくいけば続けます。
変化がなければ、次の一つを試します。
小さな修正を繰り返す方が、自分に合った方法を見つけやすくなります。
また、変更するときは、何を良くしたいのかも決めましょう。
開始しやすくしたいのか。
継続日数を増やしたいのか。
成果を高めたいのか。
目的が明確なら、変更の効果を判断できます。
達成後に次の目標へつなげる
目標を達成したら、すぐに次の高い目標を作る必要はありません。
まず、何が達成を支えたのかを振り返りましょう。
どの行動が役立ったか。
どの時間帯が続けやすかったか。
どの支援が必要だったか。
何が負担だったか。
この情報は、次の目標に使えます。
次に、達成した状態を維持する必要があるかを考えます。
資格に合格した後も学習を続けるのか。
減量後の体重をどのように維持するのか。
仕事の改善をチーム全体へ広げるのか。
目標達成が終点ではなく、習慣や次の段階への入口になる場合があります。
一方で、十分に達成したなら、そこで終了しても構いません。
新しい目標を次々に作らなければ価値がないわけではありません。
達成した事実を確認し、休む時間も取ります。
その後で、自分が本当に必要とする次の目標を選びましょう。
まとめ
目標を達成するために必要なのは、強いやる気だけではありません。
具体的な目標、現実的な難易度、行動する条件、進捗確認、失敗後の戻り方が重要です。
まず、あいまいな願望を、確認できる行動へ変えましょう。
「勉強を頑張る」ではなく、「平日の朝七時に十五分間、参考書を読む」と決めます。
目標は、簡単すぎず、努力すれば届く水準に設定します。
複雑で経験の少ない課題では、成果だけでなく、知識や方法を身につける目標も役立ちます。
結果目標と行動目標を分け、自分が実行できることを明確にしましょう。
実践するときは、大きな目標を小さな行動へ分けます。
いつ、どこで行うかを決め、予定どおりできない場合の代替行動も用意します。
進み具合を記録し、必要なら信頼できる人に確認や協力を頼みましょう。
一度できなかったからといって、目標全体が失敗したわけではありません。
失敗した理由を性格ではなく、時間、場所、難易度、環境などの仕組みから考えます。
目標が現在の状況に合わなくなったら、期限や方法を変えたり、別の目標へ切り替えたりしても構いません。
振り返りでは、できなかったことだけでなく、できた行動とその理由も確認します。
次に変えることは一つに絞り、小さく試しましょう。
目標設定は、自分を追い込むためのものではありません。
望む方向へ進みやすくするために、行動と環境を整える作業です。
- Building a Practically Useful Theory of Goal Setting and Task Motivation: A 35-Year Odyssey|American Psychologist
- Implementation Intentions: Strong Effects of Simple Plans|American Psychologist
- Does Monitoring Goal Progress Promote Goal Attainment? A Meta-Analysis of the Experimental Evidence|Psychological Bulletin
- Using Implementation Intentions to Increase Attendance at a Gym: A Randomized Controlled Trial|PLOS ONE
- Goal Adjustment Capacities, Subjective Well-Being, and Physical Health|Self and Identity

